「これ、ジョーカーから見た人混乱するな…(笑)」
と映画を見終わったあと私は思いました。
まさかここまでヒットするとは思わなかった2019年の映画ジョーカー…そのジョーカーのサイドキック(相棒)?娼婦?手下?なんとも形容し難いキャラクターのハーレイ・クインが主演の映画「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」の感想を書きます。
本感想は前半部にややネタバレ、後半部に完全ネタバレを含みますので、お嫌いな方はご遠慮ください。
それでは…
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【前半部ネタバレ】スタート!!
Contents
映画ジョーカーを見た人に説明したい、映画ハーレイ・クインとの相違点
結論から言うと、ハーレイ・クインのキャラクターが生かされた開けっぴろげな映画だったと思います。ヒューマンドラマよりかはコメディー&アクションという感想。この点からも映画ジョーカーとは毛色の違う作品でした。
さてさて、映画ジョーカーを見たあとにハーレイ・クインを見ると「なんじゃこのパリピ陽キャ女は!?陰キャなジョーカーと釣り合わんやんけ!!」と思うでしょうがバットマン的にはこのハーレイが「まさにジョーカーの相棒ハーレイクイン」という感じでした。
そもそも映画ジョーカーは「ジョーカーになりたての頃」を描いた作品であり、映画ハーレイクインは「ジョーカーがやりたい放題にやってる頃に出会った女」なので時代背景が大きくずれているのです。
ハーレイクインの前身は精神カウンセラーで、ジョーカーや他のヴィラン達をカウンセリングしている立場でした。カウンセリング中ジョーカーの魅力にどっぷりハマりジョーカーの相棒に成り上がった(成り下がったともいう)のがハーレイクインの登場です。投獄⇔脱獄を何度も繰り返していたジョーカーですから、映画ジョーカーで描写されていた気弱なアーサーはすでに消滅しています。

まずこのあたりの時代背景を汲み取ることですんなりハーレイクインを見ることができるでしょう。
いたずら好きなジョーカーの性格をトレースしたハーレイクイン
映画ハーレイクインでは、様々な犯罪者から恨みを買っていますが、そのどれもがしょうもない内容です。(顔に落書きした・ハイエナに噛ませた・覚えていない…など)
ジョーカーの悪事は「いかに面白いかどうか」にスポットが当てられているので、恨まれる内容もギャグみたいな内容が多いのです。
なので映画ジョーカーの「重々しい雰囲気」と映画ハーレイクインの「どこかギャグっぽいのり」というスタンスが相反しているように見えますが、これも時代背景の異なりによって生じた事象です。
ジョーカーやバットマンは出現するのか…ハーレイクイン主人公の映画だけど…
どこかにジョーカーが出てくるはず…!と期待して待っていました。ジョーカーに振られてしまったハーレイクインですが、ところどころジョーカーの事を想うシーンが見られました。
ジョーカーの事を頭では拒絶してても心までは拒絶していない…そんな感じがハーレイクインから感じ取れたのです。
例えば、ある受刑者を逃すシーンでコンピューターを使った解錠を試みるハーレイクインがコンピューターを武器でガンガンやりながら無理矢理に解錠する様子はまさにジョーカーの仕草そのもの。ジョーカーの事を本当に好きで仕草まで囚われていた事がわかります。
ジョーカーといえばバットマンだが…今回の敵キャラ「ブラックマスク」との関連性
ハーレクインのいるところジョーカーあり、ジョーカーいるところバットマンあり…とバットマンの登場を期待する前に、映画ハーレイクインの敵キャラ「ローマン・シオニス」について語ってみます。

ビシッとスーツ姿に怪しげなマスク…見た目通り「ブラック・マスク」といったところですが、そのマスクの正体は…

この左側の男「ローマン・シオニス」です。ギャングのボスで様々な企業を従えていますが、その多くが違法ビジネスのカモフラージュ…という狡猾な性格の持ち主です。
自らの事業をバットマンの正体「ブルース・ウェイン」に邪魔された経緯からブルース・ウェインを憎む…というストーリーがあります。映画ハーレイクインでもその因縁が持ち出されるのか…という点に注目してみていましたが…果たしてブルース・ウェイン→バットマンに繋がることがあるのかどうか!?
さて後半ネタバレに移ります。これ以降は映画の内容が含まれますので、映画を見ていない方はお戻りください。
それでは…
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スタート!!
【後半部ネタバレ】ブラックマスクという小物感がハーレイ・クインにぴったり

バットマンにとってハーレイクインは「やっかいで(ジョーカーに騙されている)可愛そうな小娘」という扱い
ゴッサムシティは、バットマン1人では捌ききれない犯罪が起こりまくっています。映画ハーレイクインのいち事件もゴッサムシティの中では数あるうちの1つに過ぎません。
バットマンには数々の有名なヴィランが存在します。ペンギン・リドラー・ポインズンアイビー…など。そんなヴィランの中にブラックマスクという割と中途半端なヴィランとハーレイクインを当てたのはなんとも絶妙だったと思います。
ペンギンやリドラー、それこそジョーカークラスの大物ヴィランがハーレイクインと組むと、どうしてもハーレイクインがサブキャラになってしまう…そうすると主役にならない…という点を考慮したヴィランの選択だと思います。
バットマンが相手にしない…という点でもちょうどいい
結局、映画ハーレイクインにバットマンは登場しないのですがこれも「バットマンが他の凶悪事件を追っている」と思うと今回の事件の小物っぷりが見受けられます。(映画では子供を人質にしたりするので決して軽い内容では無いのですが…バットマン世界だと小さい方…という考えなのもどーなのかと思いますが(笑))
怒りまくっているローマンシオニス、ブルース・ウェインに悩んでいた可能性もあり?
作中のローマンシオニスは、なにか自分に不都合な事があるとすぐにキレだすやっかいな男性でした。自らの事業拡大を焦っていたのもあるでしょうが、先程書いたブルース・ウェインの妨害も影響しているのでは無いかと思いました。
ローマンシオニス自身は極度なサディストで拷問マニア…という性格をしているのですが、それでもジョーカーほどの悪のカリスマ性が無いので、やはり小物感が拭いきれなかったのでしょう。
GCPD(ゴッサム市警)側のキャラクターも小物感
バットマンといえば忘れちゃいけない警察の存在。今回もハーレイクインやローマンシオニスを追跡する女性刑事がサブキャラクターとして存在しています。

レニーモントーヤ刑事は情熱のある刑事でしたが、同僚の男性に手柄を横取りされたりと不遇な人生を歩んできました。彼女もまた腐りきったゴッサムシティの登場人物の一人なのです。
さて、GCPDといえば有名な人物、ジム・ゴードンですが彼も今回の映画には出演しません。バットマンの世界でGCPDといえばジム・ゴードンというぐらい有名な刑事ですが、やはり彼を出してしまうと大きな事件な感じが出てしまうのであえて避けたのでしょう。

バットマンの正体を知る数少ない理解者「ジェームズ(ジム)・ゴードン」
とこのように、ハーレイクインの登場人物すべてが、中途半端な人物達で構成されているのです。
その中途半端がちょうどいい!
決して中途半端だから悪い…とか酷評したいのではなく、バットマンという作品を考えた上で作られた人選だなという点に感動しました。先程も言ったように、バットマンに出てくるような大物ヴィランが登場してしまえばどうしてもバットマンを渇望するようになるだろうし、ハーレイ→ジョーカー→バットマンという登場の流れになってほしいと思うのはもはや自明の理です。
よくジョーカーを出さなかった!よくジム・ゴードンを出さなかった!
映画ハーレイクインの見どころシーン
ハーレイクインの性格よろしく、頭を空っぽにして見られる映画でした。
映画ジョーカーのようなヒューマンドラマではなく結構アクション多め!特にローラースケートでブラックマスクを追いかけるカーチェイスのシーンは見ごたえありましたね!!
ハーレイクインってこんなに動けるのかよ!?とお思いでしょうが、基本的に身体能力が高いという設定なのでハーレイクインのキャラ崩壊に至らなかったものGoodですね!
一方、ハーレイクインの仲間になったディーバ「ブラックキャナリー」の超音波に関しては「おいおいww」と思いました。あれは理論的にできるとは言え、あまりバットマンの世界観に沿わなかったですね(笑)
ローマンシオニスに捕まったときにハーレイクインがみる妄想について
ハーレイクインがローマンシオニスに拷問され底から脱出の糸口を見つけるとき、彼女の妄想が爆発します。彼女がシンガーになって周りには数人の男たち。シオニスや部下のザーズに殴られているにも関わらず楽しそうな雰囲気が出ています。
このシーンは、ずばりハーレイがジョーカーに利用されているような喜びが戻ってきた感覚になったのではないかと考察します。
ジョーカーとハーレイクインの関係は簡単に言うとヒモと娼婦のような関係。ジョーカーの気に食わないことがあるとすぐにハーレイに手を出すシーンも多くありました。

「お前のギャグは崇高じゃない!!」と暴力を振るわれるハーレイ
しかしハーレイにとってジョーカーの暴力は「愛情」と受け取っていた為、シオニスからの暴力で一瞬ジョーカーとの思い出がフラッシュバックして楽しい雰囲気になったのでは…?と予想しました。
ジョーカーの元サヤになるシーンがあると良かったかも…?
さて、感動のラストシーンといった感じで映画ハーレイクインは終わるのですが、ジョーカーが居なくても悪のカリスマを貫き通せる!みたいな終わり方にすこし違和感がありました。
なんだかんだ言って、結局ジョーカーのところに戻ってしまうというのがハーレイクインの強烈なキャラクター性なのです。主役をうまく終わらせる為とは思いますが、多少、最後にジョーカーのシンボルが写っていると「おお、結局ハーレイはジョーカーの元に戻るんだろうな」とワクワクした終わり方ができたと思います。(もしかしてささやかに写っていたのかもしれない)
こうする事で、「ジョーカーが居なくても数々のトラブルを乗り越えてきたハーレイの独り立ち…とはならず、結局ジョーカーを渇望している」というジョーカーの悪のカリスマ性を高めることができたのでは無いかと思います。
が、やはりハーレイを主役に置いた以上、ジョーカーの魅力を1ミリでも表に出さない…という決意があったのかと思います。
サイドストーリー制作に難しいバットマン作品
とまぁバットマン作品のサイドストーリーということで、どこかバットマン、せめてジョーカーを出演…!!と思っていた「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」ですが、最後の最後までバットマンやジョーカーを出さなかった事にこだわりを感じる映画でした。
アニメではバットマンとハーレイクインが共闘するストーリーもあることから、パラレルなストーリーを作ることもできるDCコミック。しかし今作では頑なにハーレイを主人公にしたいという意思が感じられましたね。
ハーレイが主人公という意味では、スーサイド・スクワッドもあるのですが、あの作品にはジョーカーが出演したので、今作「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」では正真正銘主役を張ったと言って良いでしょう。(むしろ、スーサイド・スクワッドでジョーカーを出してしまった為、ジョーカーの魅力が半減したようにも見えた)
さてさて、2020年といえば映画バットマンが公開される予定とのことでDCコミック熱が高まってきて嬉しい限りです。ジョーカー→ハーレイ→バットマン、と贅沢なコンビネーション。満を持して登場するDCコミックのトップヒーロー!!これが楽しみでなくて何が楽しみか…!!今からワクワクものです!!
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