2019年10月4日(金)にDCコミックの世界的ヒーローバットマンの宿敵ジョーカーにスポットを当てた映画「ジョーカー」が日本で放映されます。
バットマンといえば映画「ダークナイト」が有名でその中に出てきたヒース・レジャー演じる「ジョーカー」は狂気がむき出しになっていて悪役として魅力を放っていました。
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さて、そのダークナイトジョーカーを見たあと今回放映される「ジョーカー」を見ると「あれ?この雰囲気ジョーカーなの?」と混乱することでしょう。「狂気」というかは「狂喜」…。なぜ映画によってここまでジョーカー像が異なるのか、ジョーカーについて知っておくと良い3つのポイントとしてご説明いたします。
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ポイント1:ジョーカーには先天性と後天性の2種類のキャラクターがいる
今回放送される「ジョーカー」は、最初善良なコメディアンとして人生を過ごしますが、次第に周りの冷たい扱いからだんだんと狂いだしていき、そしてジョーカーという狂気の犯罪者が生まれる…というストーリーです。
一方ダークナイトジョーカーの方はあまり生い立ちにフォーカスがあたっていません。作中、幼いときのひどい扱いを受けた話をするシーンもありますが、あれはジョーカー流のジョークで人を混乱させる時によく使う手なのです。
このように作品によって「初めからジョーカー」と「作られたジョーカー」という設定が別れます。
ティム・バートン版バットマンのジョーカーは「作られたジョーカー」スーサイド・スクワッドのジョーカーは「初めからジョーカー」TVシリーズのジョーカーは「初めからジョーカー」と設定様々です。
また狂気度も様々で「初めからジョーカー」でもダークナイトジョーカーは尖りまくりの狂気。TVシリーズは楽しい楽しい近所のおじさん(笑)などと必ずしも「初めからジョーカー」の方が狂気度が高いというわけではありません。
TVシリーズのジョーカー(右)朗らかな笑顔はダークナイトジョーカーとは対極的
ワーナー・ブラザーズ公式サイト より引用
今回放映されるジョーカーは「作られたジョーカー」の設定ですが、どのような狂気度になっていくのかが楽しみですね。今回はオリジナルストーリーということもあって、びっくり仰天のジョーカー像が楽しめるかもしれません。
これだ!!というジョーカーはいない
「初めからジョーカー」「作られたジョーカー」とあるように、実はバットマン(というかアメコミ全般において)のストーリーはその作品作品によって違ったものとなっております。
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日本ではマンガ・アニメ・アニメ映画のどれもがキャラクターの性格や主要なストーリーが一貫されていますがアメコミだとこの辺が割と自由なのです。(余談ですがこの点が「日本人がアメコミ作品を見る時に混乱する」ポイントでもあります。)
DCコミックに初掲載されたバットマンに出現するジョーカーは狂気というよりかはむしろ「犯罪王になりたい犯罪者」というライトな描写でバットマンの宿敵「ペンギン」や「リドラー」と同じ立ち位置です。中には子供のケンカじみた言い争いもすることもあり「のほほん」としたバットマンとのバトルが目立つ回もありました。

とても残忍な殺害を行いそうには見えない悪党どもの口喧嘩(笑)
一方ティム・バートン版バットマンのジョーカーでは元々ギャングの一員で、内部抗争やバットマンの妨害により怪我(顔が破壊される)してしまい、心がすさみジョーカーになっていくというストーリーです。ジョーカーになってからは割と狂気あふれる行動を取りますが、どこかひょうきんな感じもありダークナイトとは違った雰囲気で狂気を演出しています。
このように、作品によってビジュアルやストーリー、バックボーンが異なるジョーカーです。作品によってはそれらの差が大きくなるので「あれ?この作品ではこんな言動だったのに今作は違うぞ?」とぶれる事もありますが、基本的な設定(ピエロのメイク・緑色の髪の毛・人を恐怖に陥れる犯罪手法)は崩れていません。
ポイント2:その時代に合わせたジョーカー像になっている
今作「ジョーカー」を見る上で注目したいのが「時代背景」です。
これまでのバットマン作品のジョーカーはその時代に応じたフォルムになっていました。当時の流行ファッションや音楽、思想や事件など…あらゆる要素を含めてジョーカーの格好や雰囲気が作られたのではないかと予想しています。
例えばスーサイド・スクワッドで登場するジョーカーはまさに今どき若者「パリピ」と言わんばかりのファッションと風貌。年齢自体も20代前半で短髪銀歯とこれまでのジョーカー像から大きく離れています。しかしスーサイド・スクワッドの主人公ハーレクインも今どきのギャルっぽい格好だったのでそれに合わせた感はあります。スーサイド・スクワッドに関しては、ヴィラン中心の映画だったため本線のバットマンとは違った雰囲気で作ろうという感じが見受けられました。そういうつくり手の意図も含まれてジョーカーのフォルムは決定されます。
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ワーナー・ブラザーズ公式サイト より引用
ちなみに私は、ティム・バートン版のジョーカーは元ギャング設定だったこともあり「90年代のちょいワル親父を演出したジョーカー」ノーラン版(ダークナイト)ジョーカーは「90年代の古いイメージを刷新したシャープかつディープなジョーカー」TVシリーズジョーカーは「戦後(1960年放送)まもなく元気の無いお茶の間に笑いを提供してくれたおもしろおじさんジョーカー」といった感じで時代と照らし合わせて見ています(笑)
さて今作「ジョーカー」ではどのような時代背景を取り入れてくるのか?予告編を見る限りではITテクノロジーが進化していない時代に見受けられます。コメディアンが出始めた頃の時代背景でしょうか?しかし間違いなく現代の社会問題などをうまく風刺した作品に仕上げてくると予想しています。ともすると、SNSなどを利用した他人とのつながりをモチーフにジョーカーの人間関係や心の闇…的なところにアプローチしてくる可能性があるのではないか…と予想します。
ポイント3:あなたの気持ちがジョーカー像を作っている
私も「○○シリーズのジョーカーは違う」とか「ジョーカーといえばやはり…」とジョーカーに対する持論は話せば長くなるほどあるのですが、今作「ジョーカー」の発表を見て「結局私達がジョーカーに求めているのは、自分自身の欲望ではないか?」と考えるようになりました。
銀行強盗を楽しく実行しながら得意のブラックジョークを交えて人殺しするシーン、娯楽の象徴TVをジャックして人々の笑えないジョークを振りまきながら恐怖に陥れるシーン、ペンギンやリドラーに対して作戦の欠陥を冷静に指摘するシーン(笑)など…。ジョーカーの行動を見ると時たま「スカッと」する部分があったりするのです。
それは自分の中に潜むジョーカーらしい感情。「どこか面白おかしく人を困らせてやりたい」「100%残虐だと相手に悪いからジョークを交えてシャレで。シャレ」といった闇の感情がジョーカーに共感を得られる部分ではないかと思うのです。
その感情がジャストフィットする作品に対して「○○版のジョーカーが最高!!」という評論が生まれるのでは無いでしょうか。
ちなみに私はTVシリーズのジョーカーもしくは原作コミックのジョーカーが好きです。悪いことをしているのにどこか憎めない…食い逃げして仕方ねぇなぁぐらいの悪いことで許す・許される世界なら優しい世界だなぁ…とほっこりする情緒を感じるのです(笑)
どの作品のジョーカーもジョーカーだ
ということで、今作「ジョーカー」の予告編を見るに、ジャック・ニコルソン演じる「ナチュラルサイコやろうジョーカー」でもヒース・レジャー演じる「尖りすぎて刃先がなくなったほど尖ったジョーカー」でもジャレッド・レト「メガ盛りパリピジョーカー」でもなさそうな感じは見て取れます。
先述の通りアメコミの特徴として、「基本的な設定が守られていればストーリーが多少違ってもOK」があげられます。これを把握しているかどうかで、作品自体の面白さが・見方が変わってきます。「あれ?ヒース・レジャーは髪の毛もじゃもじゃだったのに、今作ジョーカーはわりと整ってるぞ」というアラ探しをする必要もなくなるのです(笑)
どの作品のジョーカーも卑劣な手口と笑えなジョークで人々を混沌に陥らせるジョーカーなのです。
さて、10/4が非常に待ち遠しい!!

「アーカム・ビギンズ」のジョーカーはゲームなため分かりやすい感じに作られている
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