(いきなりですが、謝罪からスタートさせてください)
本当にすまないと思っている。私は最初この映画に対して「どうせ共感を得られるような悲しいストーリーを盛り込んで、狂ってわかりやすくジョーカーになっていく様を見てもらおうって算段だろ?オレっちはそうは問屋がおろさねーぜ!!」と鼻息荒く映画を見させていただいたのですが…
本当にすまないと思っている(2回目)正直、これはバットマンファンでも納得のジョーカーストーリーでした。私は、ゲームと映画とTVシリーズ程度をかじった初級を抜け出したバットマンファンかなと勝手に位置づけしていますが、これは中級者、上級者、マニアックとすべてのバットマンファンに対しても満足の行くストーリーではないか?と思いました。
当然、バットマンをあまり知らない方でもしっかりとしたストーリー性で「ジョーカー」という凶悪犯がどのように生まれたのかが分かるようになっている点も良いですね。
この映画は素晴らしいものだ!!!!もう一度いう、この映画は素晴らしいものだ!!!!
という事で、「ちょっと触り、抑えておいたほうが良いポイント」と「ネタバレありの感想」と前半後半に分けて感想を書いていこうと思う。お好みに応じて読む場所を選んでいただければと思います。
もし「これから見る~」という方には、ジョーカーを見る上で抑えておいた方が良いポイント記事を御覧ください。
関連記事:映画「ジョーカー」を見る前に知っておきたい3つのポイント
Contents
ちょっと触り、抑えておいたほうが良いポイント
この見出しでは「完全なネタバレは無いけど、このあたりに注目して見ると面白さが分かる!!」みたいなポイントを紹介していきます。
準備はOKでしょうか?
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ジョーカーになるタイミングが様々ある
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映画『ジョーカー』オフィシャルサイト より引用
主人公のアーサーが世の中の不満などに怒りを覚えて徐々に狂っていくストーリー性は予告編を見ても想像できますが、この「徐々に狂っていく」中にも「ジョーカーとしての狂気(狂喜)が芽生えていくポイント」がいくつかあります。
中でも見どころは「大人数の人々にまぎれて混乱を楽しむ」ところです。ここのジョーカーの行動は「あ、これほぼアーサーからジョーカーに移り変わった瞬間だな」と思いました。そして最後のステップダンス。場所までは限定しませんが、かなり見どこ ろのシーンです。
貧民層と富裕層の対立という図式を頭にいれると良い
バットマンシリーズに置いて「貧民層と富裕層」の対立はテーマの一つであり、お金持ちであるブルース・ウェイン(バットマン)達に対して貧民層が不満を表す…といった描写も結構あります。
今回「ジョーカー」に置いても、主人公のアーサーはド貧民とは言わずも生活がやや苦しい住民です。町に流れるニュースは景気の悪いニュースばかり。貧民層の心は荒んでいきまるで「悪のヒーロー」が生まれてくれる事を待ち望んでいるようです。
主人公アーサーがどのように「ジョーカー」に転身するか…?というストーリーの舞台として「貧民層VS富裕層」があると念頭に置くと、ストーリーが理解しやすいかと思います。
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映画『ジョーカー』オフィシャルサイト より引用
ジョーカーの笑い声について
ジョーカーと言えばなんとも言えない高笑いです。「HAHAHAHAHAHAHA!!」という笑い声は時に正常な者の神経を逆なでします。
今作「ジョーカー」の予告編でも笑い声が入っており「笑い声」が今作のテーマとなっています。
さて、この笑い声ですが様々な感情があります。「悲しい笑い」「楽しい笑い」「狂った笑い」笑い声的には同じような声をしていますが、表情や心情をみるとその笑いにどのような感情が含まれているのか…?と感じながら見ると、一層ジョーカーを面白く見られるかもしれません。
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映画『ジョーカー』オフィシャルサイト より引用
ネタバレありの感想
ここでは、映画の内容に触れた感想を書いていきいます。一度見た方で「これってどういう意味だったのだろう?」と分からなかった場所があれば解決できるかもしれません。
準備はOKですしょうか?
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トーマスウェインがやや悪役扱いが気になった
いやぁ、流石にジョーカーにスポットを当てた映画だけにバットマンは出てきませんでしたがそのバットマンの正体であるブルース・ウェインが出てきたのはしびれましたね。今回はジョーカーの年齢的にブルースより父親のトーマス・ウェインが絡むことが多くありました。
ジョーカーが主人公…という事でヴィラン側の心情に肩入れするような脚色になっていました。そのためトーマス・ウェインがやや「悪いやつ」に見えた方もいらっしゃるのでは無いでしょうか?
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映画『ジョーカー』オフィシャルサイト より引用
トーマスは元々医者であり政界に進出する…という描写はあまり見られません。むしろ正義感あふれるような描写をされているシーンが多く、中には「トーマスが一度バットマンになっていた」ようなコミックの話もあります。
ジョーカーの被害者の中にウェイン社の社員が混じっていた事からも、トーマスウェイン(ウェイン社)に対して悪い印象に仕上げていったのは明確でしょう。これは先述の通り「ジョーカーの心情に肩入れ」させる映画的な理由だと思っています。
多分アルフレッドは出ていない
アーサーがウェイン邸に訪れるシーンがあります。この時ブルース・ウェインをかばうガードマンがいますがこれはアルフレッドでは無いでしょう。
アルフレッドは物腰穏やかな性格で体格も細型…亡くなったブルースの両親の親(特に父親)代わりにもなり、時に友人でもある彼から発せられる言葉の内容(ガードマンは汚い言葉遣いだった)からアルフレッドでは無いと推測しています。
ブルースが出る=アルフレッドも出る、というバットマンシリーズの常識を外してきたのは中々面白い試みだと思いました。特にアルフレッドが出て何かをする…というシーンも生まれそうにはありませんが…若かりし頃のアルフレッドが見たかった!!
(ちなみに、トイレで白髪の初老男性がいましたが、トーマスと別行動とっていたのでトイレの彼もアルフレッドでは無いかと思います。どこかにアルフレッドいたのかな?)
手に入れた拳銃がキッカケで凶行に…しかしジョーカーはナイフという印象
ダークナイトでのジョーカーで「ナイフの方が好き」というセリフがありました。理由は「銃は1発だけどナイフは徐々に相手を殺せる」という事ですが、今作「ジョーカー」では割と銃を好んで使っていたと思います。
ジョーカーの武器については「笑気ガス(食らうと笑死する)」や「ナイフ」などあまり直接的な殺傷力を持たない武器から「ダイナマイト」「爆弾」など派手なものと様々です。もちろん拳銃も使いますが、好んで使う…という感じではありません。
なぜ今作「ジョーカー」で銃を好んで使っていたといえば、まぁこれは「拳銃の方が武力として分かりやすい」という意味もあったと思いますが、貧民層が非日常的な「力の象徴」として拳銃が一番スマートだったのでは無いでしょうか?拳銃という非現実的な武器を手に入れることによって、徐々に歯車が狂っていく…。そういうストーリー性をもたせる為の「拳銃」だったのだと思います。「ナイフ」だと包丁とかどこでもありそうなので非現実的ではありませんね。
トーマス・ウェインとマーサウェインの死について
最後、ブルース・ウェインの両親が殺害されるシーンがあります。まさにバットマンが生まれた元凶でもありバットマンを語る上で外せないシーンです。母親マーサの真珠ネックレスが飛び散る部分まで表現されていたのは感動的でした。(どの作品でも真珠のネックレスが飛び散る)
しかし今作はジョーカーが主人公。確かに両親の殺害シーンはファンへのサービスシーンだと思いますが、あそこは「悪党がブルース一家の後ろを追いかける」にとどめておいたほうがかっこよかったような気がします。
そもそも今作「ジョーカー」から見出した人は「なぜ殺す必要があったのか?」「ジョーカーに殺されるなら分かるけど…」とやや混乱するようなシーンにも思います。バットマンをある程度知っている人なら悪党がブルース一家を追いかけるシーンだけで「なるほどね」と察するはずです。
とまぁ、老害のような感想になってしまいましたが(笑)、唐突に始まった両親殺しは「やや急だったな」という印象がありました。
最後、なぜカウンセラーを殺したか?
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映画『ジョーカー』オフィシャルサイト より引用
作中「アーカム州立病院」という精神病院がありましたがあそこは恐らく後の「アーカム・アサイラム」でしょう。バットマンに置いては超有名な精神病院で「ペンギン」「リドラー」「ポイズン・アイビー」などバットマンに捕まえられたヴィランはだいたい精神に難ありということで「アーカム・アサイラム」に収容され同時に治療を受けます。
今作「ジョーカー」では、最後の最後、市の福祉としてカウンセリングしていた女性カウンセラーと再開しカウンセリングを行うのですが、ジョークを思いついたジョーカーが歌を歌いカウンセラーを殺害してしまします。(白いシューズに血の足跡がついていたことから)
これなんで殺す必要があったか?を考えたのですが、市の予算削減によりカウンセリング施設が取り壊されることが決まった時に、彼女は「市は”あなたも私も”どうでもいい」とジョーカーに言い放ちました。しかし最終的にはジョーカーは不名誉な「アーカム・アサイラム」の患者、一方女性カウンセラーは高給が約束される「アーカム・アサイラム」のカウンセラー…。もはや全く一緒の立場ではなくなりました。恐らくジョーカーはこの差が面白おかしくてしょうがなかったのではないでしょうか?「どこが一緒なんだ?」という彼女自身のジョークが面白く、ジョーカーの気に触ったのでしょう。
すでにこの状態のジョーカーはもはや「人を気分で殺す」レベルに昇華しています。面白かったから殺す、つまらないから殺す…と理由が必要ないのです。
今作映画「ジョーカー」もまた、バットマンシリーズの「ジョーカー」だ!!
という事で、最初に謝罪したとおり「今まで築きあげてきたジョーカー像が失われる」という恐れから去勢を張っていたぱぱしゅみですが、むちゃくちゃ良い映画で「これもまたバットマンのジョーカーなり」という感想です。
確かに「ダークナイトジョーカー」や「ティム・バートンジョーカー」などと、ジョーカーの性格や風体、髪型などは作品によって異なります。今作ジョーカーでは「ジョーカーになった後」の話は語られていなかった為「ダークナイトジョーカー」などとの比較はできませんが、「どのようにジョーカーに転身したか」については間違いなく納得の行くストーリーだったと言って良いでしょう。
シーザー・ロメロ、ジャック・ニコルソン、ヒース・レジャー、ジャレッド・レト、そして今作「ジョーカー」のホアキン・フェニックス。まさに世界を代表するヴィラン「ジョーカー」を立派に務め上げた名俳優でしょう!素晴らしい演技でした!!
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映画『ジョーカー』オフィシャルサイト より引用
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