ツイッターで大人気「がんそん」さんの発言が大炎上しています。
炎上理由は「一万円でデザインたのみ放題」ってところが刺さってるのだと思います。デザイナーの価値を語るには少々雑で投げやりな文章に見受けられますね。

私もサウンドクリエイターの仕事をしているものですから、クリエイターの値段(価値)について考える事があります。
今回は、私の知っている知識を交えて今回の発言に対して感想を述べます。この記事がクリエイター事情の1つの知識としてご認識いただければ幸いです。
Contents
デザイナーには1ヶ月80万円の価値がある
これはパチンコ業界におけるデザイナー1人が1ヶ月稼働するに必要な金額です。(交渉で前後の価格になるときもあります)
そしてこの値段はデザイナーに限らずプログラムの制御やサウンドを作る仕事においても適応されます。クリエイティブな仕事は本来これぐらいの価値があるべきなのです。
80万円を高いと見るか安いと見るか
月80万円と聞けば高給取りに感じますが、1日に換算すれば4万円、8時間働くと仮定して時給5000円です。
デザイナーという、技術が必要な職業と考えればまずは適正な値段ではないかと思います。
しかし、この80万円は企業に対して支払う金額な為すべて1人のデザイナーに与えられるわけでもありませんし、ここから作業が芳しく無い時や上司や客からのリテイクがあった場合は残業などで回収しなければならず時給が下がってしまうケースがあります。
80万円は商品として恥ずかしくないものを求められる値段
この値段設定には商品としてのクオリティがあること、客の要求に答えること、最新の技術を用いるため知識が問われること等様々な重要素が掛け合わされています。
個人的な値段の感覚では80万円は「デザイナーのスキルや努力によって高くも安くもなる折り合いのついた値段」だと考えます。
勉強を怠れば時間がかかってしまい安くなってしまう。効率よく作られれば高くなる。クリエイターが成長するには良い環境(値段)だと感じます。
デザイナーの開発費1億円:サウンドクリエイターの開発費800万円
サウンドも同じ1人80万円で取引を行いますが実はサウンドにはあまり人が必要ありません。というのも作品を作る・表現するにおいて必要な情報量の差が圧倒的に違うからです。
例えば1シーンに置いてサウンドに必要なのはシーンに合ったBGMとSEぐらいですが、映像には背景やキャラクターの動き・色使い・表情の移り変わりなど様々な情報が必要です。しかもしばらく画面に写り続けるので丁寧に書き込まなければ商品力が下がってしまいます。
その為同じプロジェクト期間でも1ヶ月にかける人数に差があるので、デザイナーの開発費用は1億円に上る事も珍しくないのです。
そして、これはデザイナーの仕事がとても大変だという証明でもあります。
本題!炎上中のがんそん発言についての感想
今まで綴ってきた内容はあくまでパチンコ業界のクリエイト部門の話であり、他コンテンツにおいての値段感や内情は異なります。
当然がんそんさんの発言に置いても企業を意識した話はしておらず、提案としては「面白そう!」と共感する方もいらっしゃるかと思います。
ではなぜここまで炎上したのかと言われたら、オーダーする人の気持ちとクリエイターの気持ちを考慮しなかった点を挙げます。
方向性が定まらないリテイクが一番つらい
「四角い青っぽいどちらかというと猫寄りのカワイイアイコンを書いてください!」
このオーダーを出した方を満足させるイラスト(或いは曲でも…)を描ける方はほぼ居ないのでは無いでしょうか。
それほどイラストや音楽は曖昧なものでありそこに頭を悩ましているクリエイターが多いのが事実です。
がんそんさんの提案は、このリテイクに関する部分がごっそり抜けているのが炎上につながったのだと思います。
15人のデザイナーで100人の依頼者をどう対応するか?
100人の依頼者は1万円を支払っています。そして「頼み放題」ですのでなるべく元を取ろうと沢山依頼するでしょう。(この”元を取る”という概念も恐ろしい…。イラスト1点1,000円と思っていたらと思うと…)
1人が月に5点のイラストを頼んだとすれば月500点。15人で回すには1日1枚書かないと回収できません。しかもリテイクが無かった場合という条件付きです。1度はOKでも、1週間経てば「やっぱここ直して」というケースも珍しくありません。
実際のオーダーは細かいのです。サイズは?カラーは?キャラクター?二頭身?アナログ?デジタル?……
デザインには様々な情報が含まれます。オーダーする側もある程度の知識が要るので、満足の行く取引を行うには適正な値段設定(この場合は月会費を高くする)と条件の絞り込み必要になるでしょう。
がんそん自体はこの状況を楽しんでいるのですごいと思う
様々な批判リプと応援リプをもらっているがんそんさんは、Twitterは自由な事をつぶやける場として認識しているので今回の件に関しても勉強になったと主張しています。
ブロックやガン無視対応と違い、反論リプに関しても自分の意見を述べているので「Twitterが自由な発言ができる」というがんそんさんのスタンスは崩れていないのだと思います。
確かに、案自体をつぶやくのは自由ですし今回の案を実行に移した人がいたとしておそらく成り立ってしまうでしょうから発言自体に言及するのは様々な要素が絡みすぎて的確な評論が行なえません。
ただ、ここまで賛否両論が繰り広げられる内容だったことはに間違いが無く、今回の発言ではデザインに関わる知識不足があった(または配慮が足りなかった)のは否めません。
つぶやく事は自由ですが、せっかくなら楽しい気持ちにさせるようなつぶやきを見たほうがみんな幸せでしょう。
どうやってつぶやけばよかったか
この件に関しては、先程も申しました様に「リテイク」に関する内容が不足していたため、
・月額10,000円ぐらいでポイントを配分(例えば20ポイント)
・サイズやカラーに応じてポイントを設定して(256×256なら4ポイント、モノクロは1ポイント、カラーは3ポイントなど…。商品を選ぶ感じ)
・リテイクは無し(あるいはリテイクもポイント制)
・ポイント内で色んなデザインたのみ放題
・誰に頼んでもOK
・クリエイター側も実績で指名ポイントが増えていく
みたいなツイートにしていれば、もうちょっと炎上は抑えられたのかなーと思います。(この様なサービス既にありそう)
フォロー数、フォロワー数や年収、借金の有無、社畜、脱社畜と色々な肩書関係なく、自分の発言がどの様な気持ちにさせるのか…を考えるべきなのだなと感じました。
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