私のブログでまぁまぁ読まれている「メダルゲームが100%負ける理由を教えよう」という記事ですが、「放出期を狙えば100%勝てる」や「やったことないのに偉そうな事を言うなカス」というなかなか批判的なコメントも頂いている中、やはりメダルゲームは子どもの教育に悪影響だということをプッシュしていきたいわけでございます。
Contents
血気盛んになる前に読んでいただきたいこと
メダルゲーム愛好家にとっては目の痛い内容ですので、呼んでいくうちについカッとなり意見を述べたいことと思いますが、次の事を呼んでからご意見いただけると建設的な議論ができるかと思います。
- 前提として私はメダルゲームを娯楽だと考えている
- この記事を読んで「子を持つ親がメダルゲームの作りを理解」していただき「子どもの教育に生かしてもらいたい」と考えている
- 私は青年時代まぁまぁメダルゲームに没頭していた。そのためハマるプレイヤーの気持ちもわかっているつもりだ
- 私はパチンコ関連の仕事をしている為、人を依存症にさせる手法に多少なりとも精通している
- 私が”メダルゲームが100%負ける”と名言しているのは、“機械台と人件費を回収する必要がある”というおそらくゲームセンターを経営する全社が持つ経営理念に則って発言している
パチンコ依存症になるメダルゲームの例
先程も記載したとおり、「メダルゲームが100%負ける理由を教えよう」がまぁまぁ読まれているということで改めてメダルゲームをプレイしにゲームセンターに足を運ぶことにした。
私自身ゲームセンターは好きで、友人や兄弟と遊びに行く選択肢にいつも入っていた。
しかし今回はあくまで「メダルゲームがパチンコ依存症の温床になる」というテーマをもった上で向かうことにしたのである。
釣りスピリッツがやばい
家族でイオンなどのデパートに行くと高確率で置いてある「釣りスピリッツ」
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釣りスピリッツサイトから 引用
ゲーム機名が示す通りロッドを振り投げてリールを巻き魚を釣り上げるとメダルが貰えるという単純なゲーム性だ。
このゲームをプレイすると実際に楽しい。魚との距離を測りロッドを投げる瞬間の緊張感やリールをがむしゃらに回す興奮、釣り上げたときの達成感。面白くないわけがない!!
しかしその楽しいすべてがパチンコ依存症に向かう悪しきサイクルにハマっているということを子どもたちは理解していないのだ。
小学3年生女の子「テメー!邪魔だっつーんだよ!!」
私は耳を疑った。釣りスピリッツをプレイしている女の子が急に吠えだしたのだ。

釣りスピリッツは複数プレイ方式でたくさん釣り上げたプレイヤーがランキング上位に乗るシステムだ。ゲーム内の釣り堀は皆が共通のものを使う。つまり大きな魚がいようものなら、その魚は取り合いになる。先に針が引っかかった者に釣り上げる権利が発生するのだ。
今回女の子が吠えた原因は、自分に近い釣り堀に侵入した魚を別のプレイヤーが横取りしたことにある。その魚を釣り上げれば、多量メダルが獲得できたのだろう。何れにせよ異様な光景である。これが血気盛んな中高生男子なら話はわからないでもない。しかし今回はまだ幼いとも言える小学3年生ぐらいの女の子なのだ。
それではなぜメダルゲームがパチンコ依存症の温床になるのか。またなぜ幼い女の子が荒々しく吠えなければならなかったのかを3つの理由を持って説明していきたい。
理由1:メダルを獲得するまでの煽り演出が依存症にさせる
現代のメダルゲームはメダルを入れたくなる演出やゲーム運びが長けている。
昔のメダルゲームではCGROMの容量も少なかった為、多くの表現ができなかったが今では十分なCGROM容量によりきらびやかなエフェクトが多く使われるようになった。
また音や光に関する技術も向上しており、例えばスピーカー1つに置いてもプレイヤーによく聞こえるスピーカーが昔より安価に手に入ったり、プレイヤーの射幸心にダイレクトに訴えかけるランプも同じく安価に手に入ることによって、演出が派手になっていく傾向にある。
釣りスピリッツではとても大きな液晶画面内に縦横無尽に動く魚を相手に釣りを行う。針がかかったときの音や光、演出は「よし!これからやるぞ!」という気にさせる。無事魚を釣り上げたときは更に激しい演出でプレイヤーを祝福する。
この一つ一つの派手な演出が徐々にプレイヤーを依存症にしていくのである。
成功体験が簡単になっている
さらに厄介なのが、この派手な演出が手軽に体験できることだ。手軽に体験できると小さな成功では満足できなくなってくる。
釣りスピリッツの場合メダルを1枚入れて2枚返ってくるという小さな当りが頻繁に訪れる。最初は増えるメダルに興奮するのだが、段々「1枚入れて2枚返ってきても全然興奮しないや」と思えてくるのだ。(もっと大きな魚がたくさん枚数をもっている事を理解しだす)
このように、あまりにも「増える」という成功が簡単に体験できるので喜びの濃度が薄くなっていく。これが依存症が深くなっていく最初の段階である。
成功に段々飽きてきて、もっと大きな成功を求めたくなる…。これは現代のメダルゲームもパチンコも同じような作りになっている。
理由2:メダルを獲得するまでの体の動きが依存症にさせる

イオンのゲームセンターで良く見かけないだろうか?リールを必死に巻き上げる子どもたちの姿が。その姿は実際の釣りとは一線を画す異様さを含んでいるように見えないだろうか?
釣りスピリッツ特有のシステムに、リールを巻くスピードが早ければ早いほど釣り上げられる確率が上がる…というものがある。実際の釣りと同じく、大きな魚ほど力強く巻き上げなければならない。実はこの単純な動きにこそ依存症になる理由が詰まっているといって良いだろう。
先程紹介した何度も訪れる成功体験の中に、このリールを巻き上げる動きがメモリーされている。自らの身体を動かすことによって、その成功体験を呼び起こしているのだ。
しかしこの巻き上げる動作にもだんだん飽きてくる。もっと大きな魚を求めたくなる。そのためにはもっとリールを巻き上げなければならない。もはやなりふりかまってられない…。そうしていくうちに、だんだんひと目を気にせずリールを回し続ける姿が出来上がっていくのだ。
パチンコのボタンも同じ事が言える
パチンコに行ったことがある方ならボタンをがむしゃらに押しまくっている遊技者を見たことがあるかもしれない。あるいは自分がそのような動きをしてしまっているかもしれない。
パチンコで使われる演出の中に「ボタン連打」がある。ボタン連打して大当りに向かう演出なのだが、実際はボタン連打の良し悪しによって結果が変わるわけではない(当たるかどうかの結果はすでに結果は最初から決まっている)ではなぜ遊技者はボタンをがむしゃらに押しまくりたくなるのだろう。
遊技者もパチンコを打ち始めた当初からボタンを激しく連打していたわけではない。最初は画面の指示に従って何気なくボタンを連打したはずだ。しかしその連打で大当りが獲得できると次第に「連打をすれば大当りが手に入るかも」という成功体験が記憶される。
先述の通り、連打をすれば必ずしも大当りが獲得できるわけでは無い。むしろハズレることの方が多い。しかし遊技者は「連打=大当り」という成功体験が強烈に記憶されるのだ。だからすべてのボタン演出に置いてがむしゃらに押しまくるようになる。
そして真に恐ろしいこととは、最初は「連打=大当り」という考えのもと連打を行っていたことがだんだん慣れすぎて、何も考えずにボタンを連打するような体になっていくのである。
理由3:他のプレイヤーに負けたくないという気持ちが依存症にさせる
この理由に関しては、メダルゲームのほうが色濃く出ている。
女の子が「テメー!邪魔だっつーんだよ!!」と吠えたのもこの要素が大きく関わっているといえる。
釣りスピリッツでは他のプレイヤーが大きな魚にヒットしたことや釣り上げたことがひと目で分かる。狙っていた魚が横目で釣られる瞬間は気持ちの良いものではない。
そして「次こそは…!」と意気込む。ライバルが目指している魚を釣り上げメダルを手に入れる快楽はひときわだろう。
しかし次も失敗してしまうと気持ちが荒ぶってしまう。再び他のプレイヤーにヒットされてしまったり、自分がヒットした魚を取り逃がしてしまう可能性は十分にある。そんなとき、他のプレイヤーに対して「ちくしょう」という思いが生まれてしまう。
これに慣れすぎていくと、次第に先述した女の子の「テメー!邪魔だっつーんだよ!!」と他のプレイヤーに攻撃的になっていくのである。
プッシャーゲームでも大量獲得を祝福する
話が少しずれるが、大型プッシャーゲームでジャックポット(大量メダル)を獲得したときも、大きな音楽と光でプレイヤーを祝福する。何千枚ものメダルがゆっくり時間をかけて放出するので嫌でも目立ってしまう。
しかしジャックポットを獲得した達成感と他の人に見られている優越感がこの上ない快感に変わっていくのだろう。
パチンコではせいぜい隣や後ろの客ぐらいしか分からない
メダルゲームに比べパチンコはこの「優越感」において多少引けを取るところがある。
確かに積み上げたドル箱タワーを他の客に見てもらう優越感もある。大当りが確定するけたたましい音が流れる時にも、周りの人に「どや!私はあたったんだぞ!!」と自慢できる。しかしおおっぴろげに「○○○の台、只今10,000発獲得しました!!」と告知しない。あくまで大当りしたプレイヤーの雰囲気や音、光に気づいた者が悔しい思いをするだけだ。
一方メダルゲームでは「○○台のプレイヤー、1200枚獲得!!」と表示されるゲームもある。払い出される枚数が多ければ多いほど優越感が高いだろう。
優越感が高ければ高いほど、メダルゲームに依存してしまう可能性がある。
メダルを入れたくなるようなゲーム開発を行うメーカー
では何故メダルゲームを開発するメーカーは、依存症になるような演出を入れるのだろうか?それは「そのように作らないとゲームセンターに買ってもらえない」からだ
釣りスピリッツのような大型メダルゲームの価格は何千万もする。買ったゲームセンターがその機械台を回収するにはお客にメダルを入れてもらうしか無い。ゲームセンターの利益は機械台を回収してから得られる。(詳しくは「メダルゲームが100%負ける理由を教えよう」にかかれている。)

ゲームセンターとしては何度もメダルを入れてもらうようなゲームを置きたい。何千万も出して購入したゲームに誰も寄り付かないのであればそのゲームに無駄遣いしたことになる。だからゲームメーカー「このゲームは○○のようなシステムでメダルを入れたくなるような仕様になっていますよ」とゲームセンターに買ってもらうようゲーム内容を工夫するのである。
ゲームメーカーとしては「次はもっと良いの…次はもっと良いの」とゲームセンターが機械台を回収しやすいようなゲームを開発する。依存症になりやすい演出はだんだんと増していくのだ。
どうすれば子どもたちを依存症になる前から救い出せるか
まずは本記事を読んで依存症になる演出をそれとなく理解するだけで救われる。
- ゲーム画面の煽りが激しそうなやつ(「あと1つの宝箱で大量獲得が近い!?」等)
- 体を動かす(ボタン連打もそう)ようなタイプのゲーム
- 多人数でプレイするゲーム
この3つが合わさるようなゲームは結構危ないと考える。(そもそもお金を入れたくなるようなゲームというのはメダルゲームに限らず全てのゲームに言えることなので、上記3つの要素が1つも含まれていないゲームは存在しないが…)
子どもがプレイしている様子をみて、上記3ポイントが色濃く出ているようなゲームであればそのゲームは敬遠したほうが良い。
あと少しでメダルがたくさん出そう…というポイントでやめる
どんなに有利に見えても撤退する賢さが必要だ。
ある程度ゲームをプレイすると「もう少しでたくさん出そう…」というポイントが見えてくる。プッシャーゲームだと、手前の穴にたくさんメダルがある状態だ。
この時、手持ちのメダルがなくなり追加投資…するようだと危険である。親も夢中になって「あと1,000円分のメダル…」と購入してしまいがちだが、ここでグッと我慢し帰る事が子どもたちを依存症から守る一番の手である。
何故かと言うと、「もう少しでたくさん出そう…」ポイントは作られたものだからだ。先述した機械台を回収するためにメダルゲームにはペイアウト設定が可能になっている。ペイアウト設定とは「客が100枚いれたら95枚返す」という具合にメダル増減が調整できることを言う。このペイアウト設定がないと、客が勝ちっ放しになる、又はその逆のケースもありうるようになり店が安定して機械台の回収ができなくなる。
話を戻すと、「もう少しでたくさん出そう…」というポイントは更にメダルを入れさせようペイアウト設定で作られた現象の為、続行しても再び同じような状況になる可能性が高い。「1,000円だけ…」が「もう1,000円」になってしまう。こうなると失ったメダルを取り返そうという思考になってしまい冷静さも失われる。なぜうまく行かないんだ…!!とだんだん怒りが湧いてくる。
仮に大量獲得が達成したとしても、そのときの思いが強烈に残ってしまい依存症になってしまう可能性が高くなる。逆に大量獲得ならず止めてしまったとなれば心のモヤモヤが残りっぱなしになってしまい「次回こそは…」と再挑戦を願うようになる。これもまた依存症になってしまう可能性が高いだろう。
メダルゲームの時間を決めて遊ばせる

上記の「あと少しでたくさん出そう」にも関わるところだが、予め終了の時間を決めて遊ばせるのが良い。たとえメダルを持っていてもキッパリと止めさせることが大切だ。余ったメダルは預けて次回のプレイに回すのだ。
メダルを預ける再びプレイするということは依存症の引き金になってしまうのではないか…と心配するポイントであるが心配はない。やはり「あと少しでたくさん出そう」のところでキッパリと止められるかどうかが重要になってくる。
時間が来たらメダルゲームは止めるもの…という意識付けを子どもたちにさせる事で、依存症になる可能性はグッとさがる。
親がメダルゲームの依存症になってはいけない
親が依存症になっては本末転倒だ。
やはりメダルゲームは大人がやっても楽しい。老若男女楽しめる娯楽だけに大人も熱中してしまう可能性がある。
子どものメダルが無くなった時のゲーム画面を見て「いや、これ本当に大量獲得できる可能性高いぞ…」とメダルを借りてしまうとそれを見た子どもも「パパやママが楽しんでいるし、この時は続けて良いんだ」という判断になってしまう。
「あと少しでたくさん出そう」というゲーム画面になっていても「残念だったね、さぁ帰ろうか」とサラッと撤退する親の行動が必要になる。
正直メダルゲームが好きな自分自身、この項目を守れるかどうかが怪しいものである(笑)
メダルゲームを一歩引いた目線で見れば、依存症になることは無い
親がメダルゲームの性質を理解し、正しく遊ばせる事ができればこんなに楽しい娯楽は無いだろう。
ココ最近のメダルゲームはまさにパチンコやパチスロと同じようなゲームの作り方になってきて来ている。メダルゲームにハマった子どもたちが大人になり次の娯楽を探すとなれば当然パチンコ・パチスロが候補に入ってくるだろう。
もちろんパチンコ・パチスロも娯楽でありしっかりとコントロールができれば楽しい時間を過ごすことができる。しかしハマり過ぎてしまうとギャンブル依存症になってしまい、パチンコ・パチスロが原因で家庭問題や金銭トラブルに発展するケースは決して少なくは無い。(相談件数が約2倍に RSNが2017年の電話相談事業で報告書)
メダルゲーム依存症になってしまった状態でパチンコ・パチスロを遊んでしまえば流れでギャンブル依存症になってしまう可能性は高いと見るのが自然だろう。
今回の記事を元に、メダルゲームに対する知識が少しでも備わり、子ども達と楽しく遊べるようになれば幸いである。
メダルゲーム如きでそうなる子供こそメダルゲームをやらせるべきでは?
大人になってから知った悦びの方が自制は効きませんよ